咬合(歯のかみ合わせ)には、上下の歯が最大限に接触する部位となる中心咬合位と、前方、側方に下顎を動かすための部位、偏心咬合位と呼ばれるものがあります。これらの各咬合位における咬合異常を見てみましょう。
中心咬合位に起こる問題
1)1箇所の歯が他の歯より早く接触したり、強く接触する。
2)歯が何本か抜けたままの状態で、全ての歯が同時同圧に接触しない。
偏心咬合位に起こる問題
1)下顎を側方に動かした際、反対側の臼歯が他の歯に接触する。
2)下顎を前方に動かした際、臼歯が他の歯に接触する。
上記に挙げた咬合の不調和が起こっている時に、歯ぎしりや、くいしばり等、強い力が歯にかかるときに問題が生じます。
まず、噛むために必要な咀嚼筋(そしゃくきん)が緊張します。緊張するということは、筋肉が無理をしていると言うことになるのです。顎の周辺にはたくさんの神経、血管、筋肉、骨などがあり、咬合とはこれらの組織の絶妙な連携の上に成り立っています。
ところが、咬合が不正になると人は無意識のうちに顎をずらし、筋肉を無理に使うようになります。この顎の“ずれ”が、周辺の組織にとって不調和を引き起こす原因となるのです。周辺組織によって、脳から背骨にダメージが与えられてしまうと、自律神経の要所(視床下部)にも大きな影響を与えることになります。
《左図:顎の周辺図》
咬合が悪いと、顎を動かす筋肉が無理な動きをする事は前に述べました。この無理な動きは下顎の位置をずらす事になります。そうなる事により、首の後ろの筋肉が緊張して首の骨を圧迫したり、ずらしたり、歪ませたりします。 |
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自律神経失調症の原因として咬合不正が関与している場合、咬合不正を治さない限り、慢性的に肩こり、めまい、食欲不振、血圧異常、下痢、便秘、不眠、胃腸障害などの症状が続く事になります。咬合が原因と考えられる不定愁訴※を分類すると、右記のようになります。 |
【筋肉系】 |