歯が並んでできる面のことを 「咬合平面」 と言います。図Aのように歯が綺麗に並んでいれば平面もすぐに決定でき、無理な力が歯や顎にかかることもありません。
図Bのように、上下 (あるいは左右) にデコボコになっているような場合には、顎を前後に動かしてもスムーズには動かず、そのため飛び出した歯には余分な力が加わり、歯がぐらつく原因にもなります。
インプラント (人工歯根) を植える際はもちろんのこと、すべての口の中の治療は、この咬合平面が正しく整うことを目標にしなければなりません。正しい噛み合わせの基だからです。
しかし、歯並びに欠損や高低があったり、あるいは、歯が不正咬合だったり、詰めたり、かぶせたり、削ったりして治療上の凹凸があったりしたら、その歯の正しい咬合平面は、どのようにして見つけ出したらよいのでしょうか。
咬合平面を見つけるには、アメリカのクーパーマンという人が発見した法則があり、図Cのように前歯の裏側にある切歯乳頭 (I) という点と、両大臼歯の奥にある鈎切痕 (H) という点を結んでできる平面が咬合平面とほぼ平行になっています (これをHIP平面と呼びます) 。これで分かるのです。
咬合診断器 『ダイナパーティー』 は、このHIP平面の理論を応用して、私どもの研究グループが開発したものです。これを使えば、患者さんの口の中の型を取るだけで、噛み合わせ治療の有力な手がかりが得られます。さらに、歯科技工を行う際にも、かなり作業を簡素化することができ、非常に高い評価を得ています。
ダイナパーティーで診断できることを要約すると次のようになります。
1) 噛み合わせの上下の高さが正しいかどうか。
2) 頭蓋骨に対する咬合平面の傾き。
3) 上顎および下顎の左右の高さの違い。
4) 下顎のズレ。
5) 下顎が生理的に回転しているかどうか。
(文献:「歯の噛み合わせ治療で治った!自律神経失調症-医師と患者のバイブル インフォームド・コンセントのために」 尾澤 文貞)